二便

主に二便の性状、回数、量の多少などをたずねます。
大便の形成には大腸および脾、胃、小腸が関係します。
しかし、肺、脾、腎による津液代謝の働きが妨げられるて、大便の異常がおこることが多くあります。
下痢は脾の異常が多く、軟便や便秘は津液の異常によることが多いです。
また小便は、腎(膀胱)、脾、肺と関係が深く、小便の色が清であるものは寒証に多くみられ、色が濃いものは熱証に多くみられます。

大便の異常

秘結
便秘のことです。
便秘には潮熱、口渇をともなうものは熱証、実証によくみられ、胃腸に熱があることが多いです。
便意はあるが排便無力で、大便は硬または軟であるものは気虚による便秘によくみられます。
大便は硬く、兎糞状を呈するものは血虚による便秘によくみられます。
便秘に四肢の冷え、夜間頻尿などをともなうものは、腎陽虚による便秘によくみられます。
泄瀉
大便が希薄で出たり止まったりするものを「泄」といい、水溶性の下痢を「瀉」といいます。
慢性の下痢で、軽度の腹痛(喜按)をともなうのは、虚証です。
急性の下痢で腹部の膨満感や腹痛(拒按)をともなうのは実証です。
便が水様で悪臭がないものは寒証です。
また黄褐色の水様便で悪臭があるものは熱証です。
五更泄瀉
腎泄、鶏鳴下痢ともいい、夜明け前に下痢をする特徴があります。
脾腎陽虚によるものが多いです。

小便の異常

尿量の増加
寒証、陽虚で現われやすく、消渇でもみられます。
尿量の減少
熱、汗、下痢などにより津液を損傷するとおこります。
また、肺、脾、腎の機能失調によりおこることもあります。
頻尿
尿量が少なく、色が濃く、急迫するものは下焦の湿熱によくみられます。
尿量が多く、色が清であるものは、腎陽虚によくみられます。
小便自利
排尿の回数が多く、尿量の多いものをさします。
1日に10回以上。
小便不利
排尿の回数が少なく、尿量の少ないものをさします。
1日2~3回で、排尿困難の総称となります。
小便閉
小便が出にくいものをいいます。
排尿困難に下腹脹満をともなうものを、「癃閉(りゅうへい)」といい、前立腺肥大によくみられます。
実証には湿熱、瘀血、結石によるものがあり、虚証では脾肺気虚、腎陽虚によることが多くあります。
遺尿
遺溺、尿床ともいい、寝小便や尿失禁をさします。
腎虚によるものが多くあります。