腎(じん) 腎は精を蔵し、生命力の根源である原気をもたらす。 腎は「作強の官」とよばれます。 腎は津液をつかさどり、全身の水分代謝を調節します。 不要となった津液を集めて処理をする働きがあります。 腎は骨をつかさどり、その状態は髪に反映します。 腎は髄を生育するので骨に栄養を与えます。また腎が正常であると髪が黒々とし、艶やかとなります。 腎は耳と二陰に開窮する。 腎は耳を通して外界と交流しています。そのため老化で腎が衰えると難聴や耳鳴りとなってあらわれます。また水分を調節しているので腎の異常は二陰(前陰は小便口、後陰は大便口)、大小便の異常となります。 腎の液は唾である。 腎は歯牙を支配しています。そこから染み出す液が唾となります。 腎は納気を主る。
三焦(さんしょう) 三焦は特定の器官を表すわけではありません。 あくまでも機能的な分類ですので、解剖学的な臓器にあてはめると複数の臓器にまたがっています。 飲食物から得られた気血津液を全身にめぐらせ、またその調節も担っており、その字の如く三つに分けられています。 上焦(じょうしょう) 横隔膜から上部の機能のことを指します。臓腑では心肺と関係が深く、陽性の気である衛気を全身にめぐらせる働きを持ちます。 中焦(ちゅうしょう) 横隔膜から臍までの間の機能のことを指します。臓腑では脾胃と関係が深く、胃から得られる営気と血を経絡を介して全身にめぐらせる働きを持ちます。 下焦(げしょう) 臍からしたの機能のことを指します。臓腑では腎、膀胱、小腸、大腸と関係が深く、不要な水分を膀胱に滲み出させる働きを持ちます。
奇恒の腑とされているのは、骨、髄、脳、脈、胆、女子胞があります。 骨(こつ) 骨は体表から一番深いところにあり、中に髄があります。 骨の周りには筋や脈、肌肉がつき、さらに一番外側に皮毛があることで身体が構成されます。 そしてその骨が連なることにより骨格が形成されます。 髄(ずい) 髄は骨の中にあり、その骨格を滋養します。 髄が充実していると骨格も強固となりますが、逆に不足すると成長が悪くなったり骨格ももろくなったりします。そのため激しい痛み、すねがだるいといった症状があらわれます。 脳(のう) 脳は頭骨の中にあり、髄の大きなものです。 そしてその脳の下には脊髄があり、運動を円滑にする働きを持ちます。 この骨、髄、脳は腎のつかさどるので腎気の盛衰に密接な関係があります。
奇恒の腑とされているのは、骨、髄、脳、脈、胆、女子胞があります。 脈(みゃく) 脈は営気と血を中に通し、それを漏らさないように全身へとめぐらせるものです。 そして脈は五臓で心と関わりが深いため、脈の異常は心の異常となります。 女子胞(じょしほう) 女子胞とは女性の生殖器の働きを持つもので、腎気の影響受けて機能します。 女子胞からは奇経の任脈と衝脈が起こり、この二脈が月経をもたらし、妊娠を可能とします。 胆(たん) 胆は六腑として属していますが、奇恒の腑のひとつとして他の腑と区別されています。 そのため胆は精や気血を蔵さないという腑の共通の性質に反して、精汁の貯蔵と分泌を行なっています。 また、他の腑のように飲食物の運搬や排泄といった活動に関与していません。