陰虚と陽虚

陰虚とは初学者を悩ませる言葉の一つだと思います。
なぜなら中医学と日本漢方で意味合いが違うからです。
厳密には流派や時代でも、その「陰虚」のニュアンスは異なりますが、ここではわかりやすく日本と中国で違うからということでまとめておきましょう。

日本では『陰証で虚した状態』が「陰虚」と考えられ、中医学では『陰が虚した状態』が「陰虚」と言われています。

つまり、日本で「陰虚」というと陰証がメインのため、その治療には「陽」を補うことになります。
しかし、中医学の「陰虚」では陰が少なくなり相対的に陽が強くなるので、「陽」は補いません。
この違いこそが、初学者を悩ませる要因なのでしょう。

また日本のはり師、きゅう師の国家試験では「陰虚」は中医学の考え方です。
ここでは中医学での陰虚について記載していきます。

陰虚

陰虚とは陰が虚した状態ですので、図のように陰が少なくなります。
そのため相対的に陽が強くなり、熱が発生します。
これは「虚熱」とも呼ばれ、またその熱が化火すれば「虚火」とも呼ばれます。


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陽虚

先ほどの陰虚が理解できれば陽虚は簡単です。
前述の陰虚とは逆に陽が虚した状態となります。
そのため陰が陽に比べ相対的に強くなり、そのため「冷え」が生じます。
また「虚寒」とも呼ばれます。


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