気とは

気は初めて学ぶ者にとって悩ましい言葉のひとつです。
そしてその言葉の持つ意味を理解することが難しいため東洋医学が胡散臭く感じてしまうのかもしれません。
しかし、日本語には気という単語を使った言葉は多く存在します。
気が利く、気が置けない、気がつく、やる気がない、元気、殺気などなど
よく使う言葉なのにその言葉に含まれている「気」については、あまり気にしていないのかもしれません。
ある程度西洋医学を学んでいる方なら、気は高エネルギーリン酸化合物であるATPであると認識してもらうと理解しやすいかと思います。

気の働き

推動作用

気にはすべての臓器・器官・組織の新陳代謝などを推し進める働きをもちます。

固摂作用

気は血、津液、精などを固摂し制御する作用があります。
たとえば、血が脈外へと漏れ出すことを防いだり、尿や汗、唾液などの分泌液の排泄を制御しています。

温煦作用

熱を産生し体を温める作用、そしてそれを保持する働きをもちます。

防御作用

疾病の原因から生体を守る作用をもちます。

気化作用

気化作用とは「化ける」の字のごとく、飲食物から気血津液などに変化させる作用です。
他にも津液が代謝を経て汗や尿へと転化させます。

気の種類

元気(原気)

元気(原気)とは両親から受け継いだ先天の精が変化生成したものです。
主な作用として食欲、性欲、その他生きるための欲求をみたらすための原動力であり、生命活動の源となるものです。
原気は中焦よりもたらせる後天の精気によって補給されます。
そしてその気は臍下丹田に集まり、三焦の働きによって経絡を介して全身をめぐります。

宗気(そうき)

宗気とは肺において後天の精と天の気が交わって、胸中に集まる気のことです。
宗気は五臓の心と肺と関係が深く、これらの臓の活動を支えています。
そのため宗気が不足すると呼吸の異常だったり、語声に力がなく、細くなったり、心の拍動が弱まったり、規律性を失ったりします。

営気(えいき)

営気とは後天の精から得られる陰性の気のことをいいます。
営気は津液を血に変化させて血とともに脈中を流れ、一日に人体を五十回めぐっています。

衛気(えき)

衛気とは後天の精から得られる陽性の気のことをいいます。
衛気は営気とは逆に脈外をすばやくめぐる気であり、とくに体表近くを通ります。
肌膚を温め、腠理を開闔し、外邪に対する防衛的な働きをします。
衛気は昼間に人体の体表部である陽の部分を二十五周し、夜間には体内である陰の部分を二十五周します。